甘くも苦い誘惑に溺れて



仕事が終わると職場から出ようと扉の前に立ちそっとドアを開いて辺りを見回した。



…彼の姿はない。



って事は…職場に来る訳じゃないって事?



だとしたら…どこへ来るの?



少し歩いた所で不意に車のクラクションがすぐ傍で鳴らされた。



もしかして…。



恐らく今、私の隣りへ横付けしている車のクラクションの音に違いない。



その車を見ようと視線を向ければそこには、他でもない彼が居た。