甘くも苦い誘惑に溺れて



「…どうしてここへ来たんだい?彰とは、会ったのかい?」


「…いえ。仕事の都合で来たんです…。今来た所ですぐ帰るので、彰ちゃんとは会っていません…」


「…そうか。優菜ちゃん…どうしたんだい?何か聞きたそうな顔をしているね」


「い、いえ。何でもないです」




にこやかに微笑むおじさん。



本当は許婚の事を聞きたくてたまらなかった…。



だけどもう…聞いたって、今更どうしようもないから…。