「……何?私、ちょっと部屋に行ってやることがあるから早く…」



「もう一度だけ中田蘭に会わせてくれ」



「は?」



「もう一度だけ中田蘭に会わせてくれって言ってんだよ」



新条はめずらしく真面目な口調で話し出す。



「あんた何言ってんの?てか自分のしたこと分かってるわけ?」



「あぁ分かってるさ。」



「だったらそんなこと言える立場じゃないってことくらい分かってるでしょ?」


私の言葉に新条は黙り込んだ。



「……分かったならさっさとこの手を離して」



私は冷たく言い放った。



すると新条は静かに私の腕を離した。



「……中田蘭は…俺を許す気は…ないだろうな…」



新条は呟いた。



「あたりまえじゃない、あんたは蘭の大好きだったご両親を殺したのよ。」



私は冷たくそう言いながら道場の出口に立った



「分かったらさっさと蘭のことは忘れたら?あんたに蘭を好きでいる資格なんかどこにもないのよ」



――バン



私はそう言い終わると道場の扉を閉めた。