「殿様…姫様は今、ご自分のご将来など色々とお考えになるとても大事な次期でございます…。今回のことはあまり言われない方がよろしかったのではないかと…」



「普通ならな」



「……と言いますと?」



市之助は聞き返した。



「ここは由緒正しき将軍家・久喜家だ。それを恨む悪党共の煽りに負けていたらこの先やっていけない…
将軍家に生まれた者は皆がこの運命を背負うのだ」



「………」







「あいつには近々婚約も考えている。」



殿が言ったその言葉は市之助の頭に突き刺さったまま抜けてはくれなかった―