さよならさえも、下手だった



《私は危ない目に遭ってもいいよ。
大丈夫だから連れて行って》


何が大丈夫なものか。
俺と外に出るということは、そこらに買い物に出かけるのとはわけが違う。


音都のかたくなな頼みを力いっぱい拒むと、彼女はあきらめたように地面に視線を落とした。

その顔が俺の罪悪感を掻きたてて、いたたまれなくなった俺は早足で部屋を出た。



連れていけるわけないだろ。


…俺がこれから殺人を犯す場所になんて。