――芹霞ちゃあああん!!
いつから櫂は、こんな大人びた表情をするようになったのか。
いつから櫂は、こんな苦しそうな顔をするようになったのか。
――芹霞ちゃあああん!!
あたしは、永遠に櫂を護りたいのに。
こんな顔をみたいわけじゃないのに。
「ちゃんと選べよ――?」
何に対し言われた言葉なのか。
あたしが何かを"選べ"ば、櫂を護れるの?
――選ぶがよい。
突然の声に、あたしの心臓が脈打った。
恐れなのか、諦めなのか。
自分自身説明つかない心を隠して、あたしは曖昧に笑う。
笑いながらもこれだけは判る。
――時期がきた、と。
何それが何なのかは、判らないけれど。
だけど確実に――
それが判る時期が近づいてきている。
もう、見ぬ振りは出来ない。
そう、予感がした。
退院は明日――。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
「あたしの心は既に決まっているんだよ。ずっと…"あの時"から選んでいるの。
――誰を?」
◇◇◇
『いばら姫と王子様 ~AfterDays~』
Fin.
『あひるの仔に天使の羽根を』
A suivre.

