あっという間に。
桜ちゃんの手の中に、分離されたパーツがある。
それを全て桜ちゃんはスカートのポケットにしまい込んで、残った長い針金をまた見つめた。
そしてテディベアを膝に抱き込むと、ごそごそとそのその背中を手で触った。
何と――。
クマの背中にはチャックがあったらしく、それを下げた桜ちゃんは中からミニニッパーを取り出した。
な、何でそんなものが!!?
櫂も煌も玲くんも、テディベアの秘密を知っていたらしく、特別騒ぎ出さない。
まあ、桜ちゃんは紫堂の警護団長だ。
七つ道具ぐらい持っていてもおかしくないが、見ている私としてはまるでドラえもんの四次元ポケットを目の当たりにしたような気分だ。
桜ちゃんはミニニッパーを器用に使って、針金を石にくるくると巻き付けていき――
「凄いッ!!!」
感嘆する程、豪華で繊細な針金の飾り模様で覆われた石2つが、煌のネックレスに連結されていた。
桜ちゃんは満足したのか、やはり大きな目をくりくり動かせて、
「即席ですけれど。できあがりましたわ」
あたしに返してくれた。
4人の協力によって完成されたネックレスを胸元に飾れば、何だかあたしも皆と同じような立ち位置になった気がして嬉しくなった。
「ねえ、あたしも武器を顕現させられないかな」
煌の偃月刀、桜ちゃんの裂岩糸のように。

