15分後あたしは、某有名チェーンファーストフード店の列に並んでいた。

街中にあふれている、色鮮やかなランチの宣伝達。
あたしの食欲をそそるものが山程あったのに、あたしのばかあ、などとしみじみ自分を責めていた。

それでも、あたしの中の裁判員制度の判決は、かろうじて無罪だった。休憩時間の3分の1が早くも過ぎていたのだ。


今日のところはこれでかんべんしてやらあ。

あたしは、心の中でつぶやいた。3分後に起きる出来事に、全く気づくことも無く。




彼のいない世界。
彼を知らない世界で生きるあたし。


彼と出逢った事で、泣いたことも、苦しい思いをしたことも、眠れなかったことも、いっぱいあった。
恋をするってことは、楽しいことばかりではないと、改めて知った。
つきあってもいないのに、特大の勝手なやきもちを焼いたり、顔から火が出るくらい恥ずかしい態度や行動を思い出しては、ふとんの上で転げまわったりなんてこともしょっちゅう。

それでも、あたしと彼が出逢えたという事実は、あたしの記憶の中で、宝物のような輝きを今でも放っている。
片思いでも、怖いくらい幸せだったから。