就職して、一ヶ月が過ぎた。
あたしのダメージは、加速度的に蓄積されている。
何より、自分のレベルの低さを思い知った。
がんばらないと。
ほんとうにがんばらないと。


ネイリストになりたい。

我、天下統一を目指す。
あの時、そう高らかに宣言する戦国武将のように、あたしは心の中で、青空の下で刀を掲げていた。気分的に。

父と母が、目の前に座っていた。

「座りなさい」

家族をとっても大事にする優しい父の、静かな、低音の声。

「はい」

あたしは、唇をかみ締めながら、正座をして胸を張った。
心の中で退却のほら貝を鳴らそうとする、あたしの分身を後ろからハリセンでひっぱたいた。

開戦。