午後のおかしな時間に眠ってしまった


薄暗い世界


台所の食器たちの沈黙で目が覚める




頭がひどく痛い




レースのカーテンの向こうに広がる


灰色の匂いがたちこめる雨の景色




戸棚から包丁をとりだして


自分の頭蓋骨のような


梨をむいていく




わたしはもう


雨にも濡れない


あなたのくれた


家があるから




分かち合えない


痛みになって


あなたの帰りを









【梨花一枝春雨を帯ぶ(りかいっしはるあめをおぶ) 】

中国、唐の時代、楊貴妃の死後、玄宗の命を受けた使いのものが仙境で太真と名をかえた楊貴妃と会う。その仙境で悲しくむせび泣く楊貴妃の美しさを春雨に濡れる梨の花になぞらえた歌から。

花言葉は「博愛」「愛情」