ところで、かれこれ30分こうしてじっと見張っているが、肝心のハムちゃんがなかなか顔を出してくれない。

ハムちゃんの寝床は小刻みに震えているのでそこにいるのが辛うじてわかるが、見た目はただの小汚い綿の塊だ。

この塊、元は手芸用の綿だった。

さっちゃんからこのハムスターをもらったときは、青空に浮かんだ雲のように綺麗な白だったのだが、既にあちこち茶ばんでいた。

何の色だろう。いや、考えるのはよそう。

「・・・」

その塊を寝そべって、一人ニヤニヤ凝視しているうさの。

・・・我ながら怪しい。

ふと腕を見ると、下にしていた部分にべったりとカーペットの跡がついていた。

いけない、血液の循環を滞らせてしまった。このままでは、エコノミー症候群ならぬハムスター出待ち症候群になってしまう。

うさのの我慢は、限界に近づいていた。

───マーブル、ごめんね。

心の中で謝りながら、うさのはやむを得ず、最終手段を取った。