☆うさのじゅん妄想小劇場☆




パッカパッカ
パッカパッカ


愛馬・クレメンタインちゃんのひづめの音が、爽やかな秋空に響く。
森の中の一本道を進むこと、はや5分。
まだ家が見えてこない。
敷地が広すぎるのも、困ったものだ。

森の中からリスや野うさぎが顔を出し、クレメンタインに寄り添うように走り出す。

「うさのさん、おかえり~!」

「みんな、今日はどんぐりたくさん拾えた?」

そんな会話を交わしているうちに、ようやく我が家が見えてきた。

家の前に執事が立っているが、それは中年の羊だ。名はゴルゴンゾーラという。

「ゴル爺、ただいま~」

「あぁっ、お嬢様!手を手綱から放してはいけません!」

ゴル爺は心配性が過ぎて、困ってしまう。

家の脇にはクレメンタインちゃんを放しておく広場がある。
本来ならば木戸を開いてクレメンタインちゃんに入ってもらうのだが、一度馬から下りるのも面倒なので

「クレちゃん、せーの♪」

「よっこらせ」

クレメンタインは足が長いので、柵をひとまたぎして入った。

「あ~っ、お嬢様危ない!」

ゴル爺があまり騒ぐので、家の中のみんながうさのの帰宅に気づいた。

「うさのさん、おかえり~!」
「うさのさーん、待ってたぜ~!」

玄関や窓や煙突の中から、次々に顔を出す。

犬、ブタ、アヒル、ネコ、羊。

リス、クマ、アルパカ、アルマジロ。

お父さんネズミ、お母さんネズミ、三つ子ネズミ。


「みんな、ただいま~♪」

みんなと一通りハイタッチしてから、ゴル爺を枕にして一休み。
ゴル爺は毎日エマールで体を洗っているだけあって、フカフカしてとても寝心地が良い。

「うさのさん、今日の夕ごはんはチーズフォンデュだよ♪」

「わーい、楽しみだな♪」

「じゃぁご飯ができるまで、みんなで歌おう!」


♪アールプース
いちまんじゃ~く~♪


うさの家の夜は、今日もこうして更けていく。