うさのは、子供の頃からアリの観察が大好きだった。

学研の付録でついてきそうな「アリの巣観察セット」などでは飽き足らず。
アリを使って、色々遊んだものだ。


「無人島脱出ゲーム」
水を張った洗面器の真ん中に、無人島に見立てた大き目の石を一つ。
小枝を一本、石と洗面器のふちにかかるように置く。
(この小枝が、無人島から脱出する唯一の逃げ道なのだ)
無人島にアリを何匹か放ち、一番最初に脱出できたアリが、勝ち!
(賞品は特にありません)

しかしイタズラっ子な子うさのは、
「やった!これで逃げられる!」
と勝利を確信して一本橋を渡りだしたアリを見つけると、
小枝の両端をひっくり返した。

渡りきったと思ったのに、たどり着いたところは元の無人島の上。
「???」
アリは混乱して、また島をさまよい始める。

あぁぁぁぁ・・・
子うさの、なんて残酷な子なんだお前は。

ご、誤解しないで。
子うさのはアリを見るのが大好きだったのだ。
いつも遊んでくれるアリさんへの感謝の気持ちを表すために、時々アリの大好物をあげたりも、したんだから!

サクマのイチゴドロップ。

「おー、子うさのちゃんからの差し入れだ!」
「うさちゃん、ありがとう!」
「重いから、みんなで運ぼう!全員集合!」

地面の上に置くと、アリさんたちは喜んで、次から次へと集まってきた。

「わー、アリさんたち、すごい喜んでる♪」

・・・うさのが見ていると、折からの暑さで飴がジワジワ溶け出して。
飴のベタベタに足をとられ、アリが次々と身動きが取れなくなっていき。
薄ピンクだった飴が真っ黒な固まりに・・・

ご、誤解しないで!
うさのは本当に、アリが好きだったんだから!(涙)