蛇口の熱は、水玉を蒸発させ切ると、今度は救出対象の羽虫にも遠慮なく襲いかかる。

アワワ、アワワ…

うさのが慌てふためいているうちに、羽虫は毛繕いをする余裕もなく、あっという間に干からびてチンチクリンになっていった。

……。

後に残ったのは、何だったかさえも分からなくなった黒い小さなチンチクリンと、びしょ濡れのうさの。


……。

体も心も冷えきったうさのは、ただ深まっただけの罪悪感とともに、静かに湯船につかった。

またやっちまった…。


♪みんなどこへ行った~
見送られることもなく~♪

耳の中では、「地上の星」が「地上のチンチクリン」に題名を変え、空しく鳴り響いていた。