「えっ!!!?

 塾の先生と付き合っとたん??
 めちゃ凄いじゃん!!!いいなぁ・・・。」



杏奈が下を向く。


「よくねーよ」



怒った声と、悲しみが混じった声だった。

「杏奈???」




「最初、ウチの一目惚れでさ・・・
 好き好きビーム送りまくっとったら、とうとうバレてさ・・・

 付き合うことになったんだ。

 それで、最初は、遊園地でデートしたり、映画館でデートしたり、動物園でデートしたり・・・
 めっちゃ楽しかったんだ・・・。」



杏奈の目に、涙がうかんでいる。

杏奈の泣く姿、初めてみた。

先輩に怒鳴られても、他クラスの女子にからまれても、嫌がらせをうけても、暴力をふるわれても、

一度も泣いてる所を見た事がなかった。


そのぐらい、強い子だった。





そんな杏奈が泣いている。


「無理・・・しないでいいよ。

 また今度でいいから・・・」


「ううん、今言う。


 それでね、楽しかったの。
 付き合って、2、3週間ぐらい経って、初めて、お家デートしたの。先生のお家でね。

 そしたら・・・・・レッ・・・レイプされて・・・」


「!!!!!」


「しかも、無理矢理。

 いろいろされたなぁ・・・。
 ウチ、泣く事しかできんくて、めちゃくちゃヒドイことされて・・・、
 親や友達、先生にも相談せきんようにさせられて・・・、

 そのうち、泣きすぎて涙もでんようになったわ・・・。」



要するに、パワハラ・・・

立場を利用したセクハラ・・・パワーセクハラ・・・。



「んでさ・・・、円形脱毛症になって、おなかも減らんくなって、やつれて、身も心も、ボロボロになって・・・
 こんなんじゃ、学校に行けれんじゃん??
 で、不登校になって・・・」

「もういいよ・・・。」


「まだあるの!!!
 しかも、近所の人に見られて、学校に連絡されて・・・」



「もういいってば!!」

気づけば、怒鳴っていた。

私は気が小さいから、めったに怒れない。

でも、今のは・・・



きついよ。