ひとかけらの恋

私は必要な分をカゴに入れてレジの方に向かおうとした時、前から見覚えのある制服姿の子が歩いて来る。


同じ中学校の子だ…。

私は同じ学年の子だと嫌だったから、商品ケースの後ろに隠れた。

隠れたといっても、棚と棚の間が空いているから、反対側が見えている。


しばらくすると、私の隠れた商品ケースの反対側に制服姿の子が止まった。


しまった…!!!
余計に動きににくなっちゃった!!!


私は恐る恐る空いている所から顔をのぞいて見た。



…!!!! この子…。



うぅ。見なきゃよかった…。


今の私にとっては、一番見たくない女子だったかも…。


私が見たのは、幸せそうな顔して、嬉しそうに商品を選んでいる、夏実ちゃん…。


きっと翔に渡すから嬉しそうなんだ。
『きっと』なんかじゃない…。『絶対』そうだよ。


夏実ちゃんにチョコをもらった、翔の嬉しそうな顔がふと頭の中をよぎっていく…。



だめだよ私…。こんなことで落ち込んじゃ…。