ひとかけらの恋

みんなが出ていくと、50代に見えるちょっとメタボ体型のおじさんが話を始める。



「えぇと…。自分の名前はわかるかな?」



「糸井…美晴です。」


「今日は何月何日かな?」



「8月2日です。」



「5+6=?」



「11。」



「25-8=?」



「7。」



「8×5=?」



「40。」



「うーん…。」



質問をしてきたお医者さんも、黙り込んでしまった。けど、すぐに話し始めた。



「さっきいた男の子がわからないんだね?」


「はい。」



お医者さんは私の返事を聞いた後、くるりとお母さんの方に向きを帰る。



「先ほど、もう一度検査の結果を見ましたが、どこも脳への異常はありませんでした。」


お医者さんは黙々と話を続けていく。