ひとかけらの恋

「えっと…。ごめんなさい。わからないです…。」



動揺している私を見て、翔君は静かに私の肩を掴んでいた手を離した。




………………………………………。




また病室内に沈黙が流れる。



「お母さん…。お医者さんに、このこと言ってくるわね?」



「このこと」とは、きっと私がこの男の子の記憶を失っていることだろう。



「…うん。」



お母さんは病室を出て行ってしまった。




病室には、私とみんな、そして翔君だけがいる。


翔君は、窓辺に寄って外を眺めていた。


みんなも黙ったままで、重い空気の中でただ黙ることしかできなかった。


私は少し翔君を見つめてみる。


どうして私は、翔君のことがわからないのだろう……。


私の中では、疑問だらけだった。