ひとかけらの恋

「よく俺の声聞こえたな!美晴って地獄耳?」



「えー?地獄耳なのかな?」



二人の間に少しずつ会話が弾んでくる。



あのね、翔…。
私ずっと翔の声を聞いてきたよ?
だからね…、なんとなくわかるんだ。
たくさんの人の声が聞こえてたって…、好きな人の声は特別…。
ずっと声が聞こえる度にドキドキしてたからなんだよ…?



私はフッと思うんだ…。



ずっとこの瞬間が終わらなければいいのにって…。


ずっと…ずっと一緒にいられたらいいのにって…。



でも…、過ぎてしまった時間は戻らないから…。


だから、一時一時が大切なんだ。


私…、今後悔せずに生きていけてるの?


心残りがないって言えるの?



「美晴…?」



私の曇った顔を見た翔が心配そうに話しかけてくれる。