ひとかけらの恋

さっき、確かに聞こえた…。


たくさんの人の声が聞こえる中でも、あの人の声だけがはっきり聞き取れた。


私は体育館を出て、体育館の周辺を探す。


どこにいるの?


あっ…もしかしたら。

私は自転車置き場の方へ向かう。


すると、誰かが歩いている。


間違いないよ…。
あの姿は…翔。


私は思わず走り出した。


そして翔の腕を掴んだ。



「待って翔!!」



「えっ!?ちょっと誰?…って美晴か…?」


私が翔の腕を掴んだ瞬間、翔はいきなりの出来事に驚いていたけど、私の姿を見たら少し落ち着いたみたいだった。



「どうした?美晴。」


「前向いたままで聞いてくれる?」



翔は私の頼みを聞いて前を向いてくれた。


私は翔の腕を放して、翔の背中をじーっと見つめながら話し始めた。



「あ、あのね!!さっき応援してくれたの翔でしょ?あの応援のおかげで試合に勝てたんだ!だから、ありがとう!」