「遠慮すんな。ほら、食べろよ。」

“いいの?”

赤い字。

「ああ。食べて。」

小さな細い腕が伸びてきた。

パンを差し出すと、スッと引っ込めた。

袋を勢いよく破く音がカーテン越しに聞こえる。

「リハビリ行ってくる。」

そう言い残し、病室を出た。

あの腕が、何だか印象に残った。

ヒロみたいな細く痩せた腕。

(まさかな…。)