「夏実ちゃん、俺の話も聞いてくれる?」 静かに頷いてくれた。 「俺、意識がもどるまでに夢を見たんだ。それは、俺が死ぬか生きるか、判決を待つ夢。待つ場所を、“生死の狭間”って言って、そこには色んな人が来ていた。最後に会ったのは、赤ちゃんだった。」 彼女は『赤ちゃん』と言う言葉に身震いした。 「形もない、光だったんだ。その理由はお腹の中で死んだから。」