生きたがりの青年と死にたがりの少年


嬉しかった。

一夫爺さんは本当に幸せだったんだ。

「そっか…。よかった…。」

「知り合い?」

「まぁ…。結花は俺の話を信じてくれるか?」

生死の狭間の出来事を、見舞いに来てくれた友人に話した。

しかし、やはり信じてもらえず、「夢を見てたんだよ。」と、返された。

夢なんかじゃない。

一夫爺さんはあの暗闇で、「幸せだった。」って言い残して死んだんだから。