出来ちゃった恋愛

そこにいたのは初めて見るユズの両親。



メガネをかけた真面目そうな父親と、長い黒髪で厳しそうな母親…。



「はじめまして、夏川といいます」

「話があるから…座ってくれる?」



俺を見た両親は明らかに顔付きが変わった。



無言のまま高級そうなソファーに座った両親…。



俺はどこに座ればいいんだ…?



ゆ、床か?



「なにしてんのサキ…」

「あっ、うん…」



ユズが隣を開けてソファーに座ったので、ビクつきながらユズの隣に座った。



まだ一言も発さない両親は、きっともうわかってるだろう…。



頑張れ、俺。



「ゆ、ユズさんのお腹の中に俺との子どもがいます…」

「それで…君はなにしに来た?」

「結婚したいと思ってます」



ジッと俺を見た父親が、長い沈黙の後でスッと立ち上がった。



殴られる…。



そんなの覚悟の上だった。



なのに、痛々しく響いた音はユズの方からだった…。