出来ちゃった恋愛

だけどバカ正直に『友達ですが結婚したいです』なんて言うわけがない。



一応そこは付き合ってることを前提に話すつもりでユズと口裏を合わせた。



バックバクの心臓を押さえ、震える指で押したインターホン…。



微妙な顔で迎えてくれたのはユズだった。



「制服かよ…」

「マシなのねぇからこれがいちばんだった…」

「まぁ…サキらしいよ」



出されたスリッパがやけにヒンヤリしてるように感じ、余計なことばかり考えてしまう。



壁にかかる柱時計なんか今まで気にも止めなかったのに、なぜか時間を確かめたり。



うちなんかよりも高い天井だな~とか、本当に余計なこと。



ただ、緊張をごまかしたかっただけ。



「お、おじゃまします…」

「サキ、あたしはどうなったっていいから」

「は?」

「取り合えず行くよ」



ユズのその言葉の意味がさっぱりわからなかった。



初めて入ったリビングは、うちなんかとは比べものにならないくらいキレイで広い。