ユズは京に会えて嬉しそうだった。



よかったよかった。



指輪は引き取りに行ってもまだやらない。



誕生日にやるから。



「チビ太痛い~…」

「産まれる!?」

「違うっ…お腹の形が変わる~…」



どうやらかなりの力で内側から蹴りを入れるらしい。



我が子、逞しく育てよ。



「なんか段々怖くなってきた…」

「産むのが?」

「うん…。鼻からスイカとか言うし…」

「俺は一生経験しねぇもんな~」

「どのくらい痛いのかな…」



鼻からスイカが出るかといえば確実に出ないだろう。



それは大袈裟に言い過ぎだ。



「でもさ、世の中の母ちゃんなんかみんな産んでんじゃん?」

「そうだね…」

「大丈夫じゃね?」

「人事でしょ!!なんで女ばっかりそんな思いしなきゃなんないの?卑怯だよね」



なにも言い返せないです。



そのかわり稼いで来ますから…。



「やっぱり立ち会う?」

「恥ずかしい…」

「そっか」



俺は立ち会いたいんだけどな。