出来ちゃった恋愛

本当にバカだ、サキは。



「取り合えず同意書にサインして」

「お前はそれで後悔しねぇの?」

「あたしには産むって選択肢なんか初めからないんだよ。後悔したって…」

「産みたいとは…思わなかったのか?」

「その件については考えてはいけないので…」



産みたいって気持ちは…。



どうなのかな…。



環境が悪いし、ひとりで育てて行く自信もないから…。



「産みたいって言ったら養ってくれる?あたしとこの子を食べさせてくれるの?」

「俺もその件に関しては考えてなかった…」

「彼女いるくせに。まさか愛ちゃんにはバレてないよね?」

「当たり前だろ!!でも俺、お前が傷付くのとか…なんかヤダ…」



意味わかんない。



産んでほしくないくせにそんなこと言って。



初めから期待なんかしてないよ、サキには。



それにあたしが傷ついたって、サキは無傷じゃん。



一緒に傷付くより、ずっとマシだよ。



「チョコ…食うか?」

「うん…」



サキが口の中に入れてくれたチョコ…。