俺たちが住み慣れたあの、濁った街を後にしたのは、秋の始まりだった。
初めはわくわく感ってゆーのかな、新しい生活をするにあたり、ふたりで子供みたいにはしゃいでたっけ。
でもお前の傷は、まだ癒えてなかったよな。
「百合、疲れてない?」
「ジュンちゃんそればっかだよねぇ。
別に心配してくれなくても、あたし引っ越し作業ごときで死なないっての。」
相変わらずの憎まれ口。
俺と百合は、これからうちのばあちゃんちで一緒に暮らすわけなんだけど。
「んでも、お前あんま無理すんなよ。」
ずっとさ、別に恋人同士になりたいだとか、そんなことを思ったことなんて、一度もなくて。
ただ、傍にいたかった。
無理をしたがって、弱さを隠すことでしか生きられない彼女の、一番近くにいてやりたかっただけなんだよね。
百合は今までずっと、苦しみの中にいたから。
だからこそ、これからは、もうこれ以上傷つかないように、って。
あの頃から、いや、今の方がずっと大好きだけどさ。
俺は百合に何かを強制するつもりなんてないし、ましてや気持ちを押し付けようなんてことも思わない。
百合が自分で選んだ道を歩む上で、俺の隣にいたいって望んでくれたらな、ってね。
依存しあうのは簡単なんだ。
けど、それじゃあダメだって、百合自身が一番わかってるだろうから。
だからこれからは、俺と手を繋いで、一緒に生きていこうよ、って。
「百合にはさぁ、泣き顔なんか似合わないよ。」
初めはわくわく感ってゆーのかな、新しい生活をするにあたり、ふたりで子供みたいにはしゃいでたっけ。
でもお前の傷は、まだ癒えてなかったよな。
「百合、疲れてない?」
「ジュンちゃんそればっかだよねぇ。
別に心配してくれなくても、あたし引っ越し作業ごときで死なないっての。」
相変わらずの憎まれ口。
俺と百合は、これからうちのばあちゃんちで一緒に暮らすわけなんだけど。
「んでも、お前あんま無理すんなよ。」
ずっとさ、別に恋人同士になりたいだとか、そんなことを思ったことなんて、一度もなくて。
ただ、傍にいたかった。
無理をしたがって、弱さを隠すことでしか生きられない彼女の、一番近くにいてやりたかっただけなんだよね。
百合は今までずっと、苦しみの中にいたから。
だからこそ、これからは、もうこれ以上傷つかないように、って。
あの頃から、いや、今の方がずっと大好きだけどさ。
俺は百合に何かを強制するつもりなんてないし、ましてや気持ちを押し付けようなんてことも思わない。
百合が自分で選んだ道を歩む上で、俺の隣にいたいって望んでくれたらな、ってね。
依存しあうのは簡単なんだ。
けど、それじゃあダメだって、百合自身が一番わかってるだろうから。
だからこれからは、俺と手を繋いで、一緒に生きていこうよ、って。
「百合にはさぁ、泣き顔なんか似合わないよ。」