「…はぁー。」
少し上を向いて息を吐けば、闇を背景にして真っ白になった息がよく映える。
どうやって帰ろうかな。
お金はないからタクシーも呼べないし。
呼べる相手も、ついこの間までいたけど…もういない。
もう呼べない。
あたしが夜遅くなるときはいつも来てくれたなぁ…。
そういえば、琢磨っていつも落ち着いてて冷静で。
焦った顔なんて見たことないかも。
見てみたいな。
「って、もう見れないし。」
誰もいない道路で自嘲気味に呟いた。
本当はもう少しでいいからあの部屋にいたかった。
でも、あそこにずっといたら多分、否、絶対に泣く。
そしてまた優しい貴方を困らせてしまう。
メモを見た時だって本当は泣きそうだった。
あんなこと言ったのになんでこんなに貴方は優しいんだろう。
こんな最低なあたしに優しくなんてしないで…可能性なんて1%も残ってないのに、期待を持ちそうになる。

