なんで?
どうしてあたしは琢磨の部屋にいるの?
考えても思い出せるはずがない。
当たり前だ。
昨日飲み会に行った自分を心底呪いたくなったけど、後悔先に立たず。
慣れないことは本当にするものじゃないと思い知る。
どうしよう。
気分は最悪だけど、そんなこと気にしてる場合じゃない。
あたしはここにいてはいけない。
ていうか、あたしがここにいるのは可笑しい。
もう別れたし、友達かって聞かれたら、あたしにはそうですとはまだ答えられない。
なんとか体を起こして鞄とコートを探すと、丁寧にハンガーに掛けてあった。
ベッドヘッドの脇に置いてある小さな棚に無意識に手を置くと何かが指に当たった。
目を向ければ、そこにはミネラルウォーターと風邪薬が置いてあった。
薬の近くにはメモあって、起きたら飲んで下さい、と書いてあった。
琢磨の字だ…。
風邪薬ってことはやっぱりこの異常な体の怠さは二日酔いじゃないってことか。
また泣きそうになった。
別れたのに、何でこんなに優しくするの。
やっぱりこんな場所にいても辛くなるだけだ。
時計を見れば時刻はまだ朝の4時半。
さすがに琢磨だって寝てる。
あたしはダルい体に鞭を打って立ち上がり、コートを着た。
そして音を立てないように静かに部屋を後にした。

