「ほら、ごらん」


髪を掴まれて、無理やり胸元を見るようにされる。


そこは血で染まっていて、とても見やすいとは言えなかったが、


"CECIL″


その文字が刻まれているのは 確かだった。


「僕の玩具には、ちゃんと名前をかかないとね」


そしてその舌で、傷口を舐めていく。


『ッ、や、・・・セシ、ル・・・様』


それがあまりにも痛く、けれどそれに反応してしまう自分が嫌だった。



「これは、ちょっと特別でさ」


綺麗に血を舐めとり、彼は満足そうに微笑む。


吸血鬼は治癒能力を持っており、どんなに深い傷でも いつかは必ず治るのだが・・・・



「この傷痕は 一生、消えないんだよね」


血は止まっていたが 赤く腫れたその傷は、生々しい物だった。