2人は感激の対面をするはずだった。
しかし… 何故か男は戸惑いの気持ちを顔に浮かべ、
その場に突っ立っているだけだった。
そして男の陰には子供が…
しっかりと男のズボンを掴んで
隠れるように立っている。
そんな様子に…
2人の方が戸惑って来た。
5年ぶりに会えたと言うのに、
何故そんな態度しかしてくれないのだ。
5年間、一度も姿を見せなかったと言う事は、
自分たちとは会いたくないと思っているのだろうか。
だけど母さんはもういないのだ。
その事も伝えたいのに…
かおるはショックで声が出ず、
出るのは涙、
そう、泣きたくなってきた。
「こうして捜して来たのに…
もう僕たちのことなど忘れて
子供まで作っていたのか。
いい加減な親父だ。
いやもう父親ではない。
お姉ちゃん、帰ろう。
5年前から僕たちには母さんしかいなかった。
これからは本当に2人だけでやって行こうよ。
こんなところには居たくない。
早く出よう。」
泣きたくなっていたかおるとは反対に、
孝史は怒っていた。
父が許せなかった。
自分たちは身寄りが無いと言う事で
養護施設に行かなくてはならないと言うのに、
こいつはここで新しい子供と暮らしている。
こんな事は許せる事ではない。
前は優しい父さんだったが、
今は完全な他人だ。
やはり自分たちを捨てて行った、
恥知らずな親父でしかなかった。
そう思った孝史は、
ただ呆然と涙を浮かべている姉の腕を掴んで
外へ出ようとしている。

