確かに観光客が多い。
午前中と言うのに、
細い緩やかな坂道は
土産物を手にした人でごった返している。
江の島の駅で手にした観光案内のパンフレットを見ても、
数ヶ所の観光名所は書かれているが
小さい島の事、
大した事は無い。
それなのにこの観光客の多さ…
2人には不思議な現象に思えた。
湘南の美しい海に浮かぶ島と言うだけで
存在価値があるのだろうか。
「小さい島だし、
宿は島の入り口辺りに固まっている感じなのに
うまく行かないわね。」
坂道の初めこそ大きなホテルがあり、
歴史のありそうな日本旅館があったが、
その他はほとんど小さな宿ばかりだった。
チェックアウトで帰った客が使った部屋の掃除やら何やらで
忙しい時間帯だったのか、
入り口の戸を開けたぐらいでは、
宿の人と話をするのさえ難しかった。
それでも2人は丁寧に、
待って写真を見せて回った。
しかし,知らない、と言う返事ばかりだ。
それで2人は、
途中で目にしたコンビニで、
昼食用の弁当を買い、
人の少ない横道を
海の見える場所まで行き、
朽ちた木が横たわっているところに腰を下ろした。
疲れて落ち込んだ心を元気にするには、
人ごみの無い静かな所で、
海を見ながら弁当を食べようと思ったのだ。
「お姉ちゃん、ギナマって本当にいたのかなあ。
僕たちはいると思ったけど…
実際は狐に化かされていたと思わない。
僕たち、あんな所に寝ていたし…
ここに父さんなどいないよ。」
弁当を口にしながら、
孝史が元気の無い声を出している。
ここに来たのはギナマの言葉から、
と言う事は覚えているが
他の事はほとんど記憶から薄れ、
言葉に出す事も無くなっている。
まるで幻影を見て
興奮していただけのように思えて来る。
そう、ギナマの言葉でここに来ているが…
見つけ出せる自信も無くなっている孝史だ。
午前中と言うのに、
細い緩やかな坂道は
土産物を手にした人でごった返している。
江の島の駅で手にした観光案内のパンフレットを見ても、
数ヶ所の観光名所は書かれているが
小さい島の事、
大した事は無い。
それなのにこの観光客の多さ…
2人には不思議な現象に思えた。
湘南の美しい海に浮かぶ島と言うだけで
存在価値があるのだろうか。
「小さい島だし、
宿は島の入り口辺りに固まっている感じなのに
うまく行かないわね。」
坂道の初めこそ大きなホテルがあり、
歴史のありそうな日本旅館があったが、
その他はほとんど小さな宿ばかりだった。
チェックアウトで帰った客が使った部屋の掃除やら何やらで
忙しい時間帯だったのか、
入り口の戸を開けたぐらいでは、
宿の人と話をするのさえ難しかった。
それでも2人は丁寧に、
待って写真を見せて回った。
しかし,知らない、と言う返事ばかりだ。
それで2人は、
途中で目にしたコンビニで、
昼食用の弁当を買い、
人の少ない横道を
海の見える場所まで行き、
朽ちた木が横たわっているところに腰を下ろした。
疲れて落ち込んだ心を元気にするには、
人ごみの無い静かな所で、
海を見ながら弁当を食べようと思ったのだ。
「お姉ちゃん、ギナマって本当にいたのかなあ。
僕たちはいると思ったけど…
実際は狐に化かされていたと思わない。
僕たち、あんな所に寝ていたし…
ここに父さんなどいないよ。」
弁当を口にしながら、
孝史が元気の無い声を出している。
ここに来たのはギナマの言葉から、
と言う事は覚えているが
他の事はほとんど記憶から薄れ、
言葉に出す事も無くなっている。
まるで幻影を見て
興奮していただけのように思えて来る。
そう、ギナマの言葉でここに来ているが…
見つけ出せる自信も無くなっている孝史だ。

