孝史はかおるの言葉に反論している。
大好きなギナマが
自分たちをそんな風に思うわけが無い、
と言う確信があった孝史だ。
「とにかく夕食の時、詳しく聞きましょう。」
夕食の始まりはいつもと変わらなかった。
好きなものを腹いっぱい食べた後、
残っているものをゆっくり食べながら話を始める。
「ねえ、夕方話していた、決着って何。」
かおるが箸を置き、
湯飲みを手にしたギナマに声を掛けた。
「うん。今晩全てを粉砕する。
既に通知を出した。
こんな生活は無意味だ。
二人はここと座敷なら大丈夫。
結界を消せばすぐに押し寄せて来るから、
絶対に出ないで。」
「誰が来るの。」
「怨霊たちだよ。
あいつらにとってもそのほうが良い。
ここを守るのが私の使命だったが…
もう終わりにする。
きっと父上もそうしたかったと思う。
だけど優しいから出来なかった。
それで自害の道を選んでしまった。
私は父上ほど優しくはない。
自分で決めた事は実行する。」
「よく分からないけど…
地下にいらっしゃるおばあさまたちはどうなるの。
賛成してくれたの。
ギナマの事をとても可愛がっていたようだったけど… 」
そう、ギナマの言葉は
本当に理解出来ないかおるだ。
「おばあさまのために役立とうと思ったけど、
私の行為が
次の世代への重荷になってはいけないと思う。
私の代で終わりにすると決めた。」
「ギナマ、今晩何が起こると言うのだ。
ギナマの言葉は分かりにくい。
何が起こるかだけを
分かるように話してくれ。」
孝史も理解出来ないらしく
食いついている。

