「結界って…
その言葉も聞いた事あるけど、
一体何なの。
何のためにそんな事をするの。」
かおるは、ギナマの話を
聞くほどに分からなくなってきている。
孝史は何となく分かったような事を言っているが、
かおるは孝史がそのアニメを見ていた頃は、
同じ部屋にいたから、
何となくチャクラとか結界という言葉は聞いていた。
しかし今ここで、
何故ギナマの口から出るのかが分からなかった。
チャクラの真実が
どこにあるのかさえ分からない、
かおるだったが、
その上に、何故チャクラで結界を作っていたのだ。
「さっきのような襲撃者から守るためか。」
黙って考えていた孝史が、
はっきりした声で自分の思いついた考えを口にして、
ギナマを見つめた。
そしてギナマも、
信頼を込めたような涼しげなその眼差しで
孝史を見つめた。
直後、静かに立ち上がり、
リビングとしている座敷の
その次の間をごそごそして、
立派な刀を大切そうに抱えてきた。
「あ、夢で見た刀だ。」
孝史がすぐに反応して叫ぶような声を出した。
「これは私の父の形見、
代々源上家に伝わる名刀で、
名は正宗。
初めの持ち主はあの実朝だよ。
実朝が殺されて源氏の正統は途絶えた事になっているけど、
実際は密かに生き延びた。
少なくともこの家の祖先もそうだと言われている。
この家の祖先は、
実朝が京都から来た妻の目を盗んで、
一度だけ関係を持った女が生んだ子らしい。
実朝は喜んで、
その子にこの太刀を遣わせた。
だけど知っているように、
実朝は殺されてしまった。
それで世の情勢から、
その女は子供の存在を隠して育てた。
それから800年、
その子供の子孫がこうして鎌倉の一角で静かに暮らしている。」
と、ギナマは持ってきた刀の生い立ちを話し始めた。

