銀杏ララバイ


「それにあなたは銀杏丸って言う名前で
ギナマではないのでしょ。」



今となってはどうでも良い事のように思われているが、

自分たちはこれほど真剣に考えていると言うのに… 

かおるは自分たちを騙していた証拠だ、
と言う様な声でギナマを睨むように見た。



「銀杏丸って言うのは生まれた時に付けられた名前。
だけど、私は自分で考えてギナマにした。」



あっさりした口調でギナマは説明した。



「ギナマ、自分で勝手に名前を変えちゃったのか。

まあ、銀杏丸は侍の子供みたいで
今は流行らないかも知れないな。」



孝史はギナマのその応え方に… 
気分が軽くなったらしい。

それまでの真剣な眼差しが消え、
ギナマを愛する優しい気持ちに戻っているようだ。



「何言っているのよ。
ギナマ、私の質問に応えてよ。

あの庭の空気、
アレは毒ガスだったの。

誰があんなものを撒いたの。」



かおるは、それまで真剣な様子でギナマに対していた孝史が、

名前の事ですっかり気分が変わり、

ギナマに合わせて楽しんでいるように感じられ面白くなかった。

もっと真剣に考えてくれないと、
と言う様な顔をしてギナマの次に孝史を睨んだ。



「あれは… アレは私の… 私のチャクラだ。

こんな事は話すつもりは無かったが… 
かおるは怖い。 だけど、好きだから話す。

願わくば、話を聞いてからも私を嫌わないで欲しい。

これだけは信じて欲しい。
私は本当に2人が来てくれてとても嬉しい。

一緒に遊んでくれて… 
あの幸せな時がいつまでも続くように八幡様に祈っていた。

この5年間、ずっと待っていたのも真実だ。」



しばらくしてギナマは心を決めたように話し始めた。

しかしその顔は… 
どれだけ緊張しているか、

その真剣な眼差しを見るだけで伝わって来る。