「嘘を言ったつもりは無いけど…
私の口からは話難い。
私は、何も聞かないで
このままここにいつまでも居て欲しい、と願っているが、
それは無理なのか。」
ギナマは気弱そうな顔をして、
2人に自分の気持ちを話しているつもりのようだ。
気持ち… そう、
一緒にここで暮らして欲しい、
それだけが重大な事で、
他の事は大した事ではないようだ。
「そんな事は無理に決まっているわ。
全てを理解した上で考えると言うのなら話は別だけど、
ここはおかしなことが多過ぎる。
さっきのは何。
あなたのおばあさんは悪人に切られそうになったのよ。
それにあの毒ガス。
あなたが飛び出してから
庭の空気が不気味に変わったわ。
あなたもアレにやられたから
あんな症状になった、と思ったぐらいよ。
お医者さんが来ているなんて少しも知らなかった。」
話している内に
かおるの頭は混乱して来た。
ギナマは、自分たちがこんなに心配しているのに、
何故何も感じないのだろう。
さっきのおばあさんの態度も納得がいかない。
「僕はギナマが望むならここに居たい。
だけどお姉ちゃんが言うように、
いろいろおかしな事が起こっているから、
やはり説明して欲しいよ。」
孝史は自分の気持ちを正直に話して、
ギナマとの絆を強めようとしているようだ。
どう考えてもこのままずっと一緒に、と言う事は不可能。
だけど可能な限りは一緒にいたい、
と願っている孝史だ。
それには姉の言うとおり、
おかしな事の説明はして欲しい。
何故隠そうとするのか。
僕たちの間でそんな事は必要ない、と言う事を分かってほしい。
孝史はそんな気持ちを込めて
ギナマを見つめている。

