銀杏ララバイ


体が弱いと言うのはうなづけるが… 

かおるは、
ギナマの意識が戻ったらいろいろ聞かなくては、と、

それまでここを離れる事ばかり考えていたと言うのに、

今はギナマの事に関心が偏っていた。


それにしても、
こんな状態のギナマを放っておいて帰ってしまった医師。

本当に大丈夫なのだろうか。

救急車を呼ぶべきではないだろうか。

あのおばあさんは
ギナマの事が心配ではないのだろうか。

こんな状態のギナマを無視するように寝てしまうなんて。


やはり、この家の人は皆おかしい。

かおるは横たわっているギナマを見ながら、

自分の考え付く知識の中でいろいろ考えている。


孝史は、意識無く、
か弱い呼吸をしているギナマの手を掴み、

片方の手で顔をさすったりしている。

まるで自分の元気エネルギーを、
ギナマに分けているような様子だ。



「お姉ちゃん、
ギナマはこうして眠っていても綺麗な子だね。

ちょっと顔色が悪いけど、
体が弱かったのなら仕方が無いね。」



孝史は、ギナマを
自分より幼い子供のように感じているのか、

頬に置いた手を少しずつ動かして撫でている。

孝史も、自分たちがそれまで何を考えていたのかなど
すっかり忘れているようだ。


しばらくすると、
不思議な事にギナマは、

横沢医師の言葉通り、
ゆっくりと目を開けた。

そして2人の顔を確認すると、
嬉しそうな笑みを浮かべた。

お世辞にも顔色が良くなったとは言えないが、

あの特徴のある瞳は健在だった。