ダイニング以外は日本間ばかりと思っていたが、
その部屋は洋風のドアになっていた。

そしてドアの開け閉めに
パタンと言う音がするから、
わざときちんと閉めないで居るようだ。



「ギナマではないみたいだね。」



「分からないけど… 
中に誰がいるのかしら。

今の人、何だか慌てていたわね。
中で何かが起こっているのかも知れないわ。

入ってみようか。」



それまではパニックに近い気持ちに襲われていたかおるだったが、

女の人を見たことで
不思議と落ち着きを取り戻していた。

それどころか好奇心旺盛な少女になっていた。



「うん。」



が、中を覗いた2人は、
自分の目が信じられないほど驚いた。

なんと部屋の中はがらんどうで、
大きなシャンデリアだけが
存在感を誇示して室内を照らしていた。



「おかしいなあ。
さっきの人はどこから出て来たのだろう。」



孝史の口から当たり前の疑問が出ている。



「隠し部屋があるのよ。

見かけはただの大きなお屋敷。
だけどその実は盗賊の隠れ家かも知れないわね。

きっと地下室があるのよ。
盗んできた物を隠しておくために
秘密の地下室が作られているのよ。

間違いないわ。」



かおるは、頭に浮かんだ考え付く事を全て口にしている。

はっきり口に出さなくても、
かおるの脳裏には
アラビアンナイトの盗賊団の話が浮かんでいた。


この家の地下室に
盗賊が盗んだ宝が隠されている。

だから変な男たちが入り込んだ。

それなら話のつじつまが合う。

だからギナマは話したくなかったのだ。

かおるはそこまで考えていた。