銀杏ララバイ


「私の気持も同じよ。

でも警察に知らせなければだめだと思う。
この前の泥棒のこともあるでしょ。

この家は広過ぎるわ。
ギナマ一人では無理よ。

私たちは子供だし、あなただって十分子供よ。

あなたのおばあさんがどんな考えかは分からないけど、

普通ならもっと
あなたの事を心配してくれるものよ。

私たちの祖母は、
離婚して一生懸命働いていた母のことを心配して、
私たちにも良くしてくれたわ。

3年前に死んでしまったけど。」



かおるは自分で考えられる限りの正論を
ギナマにぶつけている。

しかしギナマは何も聞いていないように、
自分の世界に入ったようだ。


うつむいて、何かに耐えているような顔。

いや顔だけではなく、
体中を震えから耐えている様な様子で
黙ってうつむいている。

そしてその内に目を閉じてしまった。

しばらくすると、
その閉じた目から涙がこぼれそうになってきた。

そんなギナマを見てはたまらない。

かおると孝史は顔を見合わせて
慌てて声を掛けている。

これでは自分たちが何か意地悪をしているような感じではないか。



「ギナマ… 泣くなよ。
僕も泣きたくなる。」



もっと自分に力があれば
ギナマもこの家も守ってやれるのに、

子供だから何も出来ない。
だから警察に頼むしかない。

いくら小学生でもそのぐらいのことは分かる。

しかし警察が来る、
と言う事は別れにつながる。

それも良く分かっているから、
かおるも一生懸命話しているのだ。