孝史は何となく警察に
自分たちの事は知られたくないような気持ちだ。
施設の人が自分たちを
捜しているかどうかも分からないが、
とにかく今は警察と関係は持ちたくなかった。
「そうね、警察に届けを出すなら
私たちはいないほうがいいわね。
でも、ギナマには知らせるべきだわ。
明日、昼食後にでも話しましょ。」
そう言う事にして二人は布団に戻った。
この生活も明日の昼限りになりそうだ。
まあ、自分たちにとって、
幸せな時間の一ページを共有したギナマと、
こうして再会出来たことだけでも
良かったと思うべきだろう。
かおるはそう思いながら
何故か心が切なくなっている。
そして孝史も…
やはり考える事があるのだろう。
寝たふりはしているが、
何度も寝返りをうち、
明らかに眠ってはいない。
「ギナマ、ちょっと話があるの。」
翌日、いつものように昼ごろ姿を見せたギナマと、
昼食を済ませたかおると孝史は、
サッカーをやろう、
と言っているギナマを
神妙な顔をして呼び止めた。
そして昨夜決めたとおり、
深夜に庭を徘徊する不審者、
きらびやかな鎧武者の存在を話した。
悪意は感じられなかったが、
どう考えても異常者の行動だから
警察に知らせて捕まえてもらうべきだ、とまで話した。
それどころか、かおるは、
自分たちは出て行くが、
ギナマも一人でこんなに広い家で暮らさないで、
おばあさんのところへ行った方がいい、とまで進言した。
孝史は、思うだけで身が引き裂かれるような感情になるらしく、
黙ってうつむいたまま、
そっとギナマの手を握り締めている。

