「うん。それにしてもどんな奴なんだ。
まるでロボットのような音がしている。」
二人は声を潜めて感想を口にしている。
こういう時は黙っているべきだろうが、
黙っていると恐怖が先になり震えがする。
何か声にしていた方が
気持ちが落ち着くものらしい。
が、しばらく我慢して、
少しだけ開けていた雨戸のカーテンから静かに覗いて…
心臓が止まるほど驚いた。
それは、その侵入者は、
月明かりでもはっきり見えたその姿は…
まさしく午前中に読んだ本にも出ていた鎌倉武士、
鎧甲冑に身を包んだ武者だった。
だから重々しい音を出して歩き、
歩を進める度に、足に付けている飾りが揺れて
不思議な音になっていたのだ。
それにしても…
二人はしばらくの間、動けなかった。
鎧武者はそのまま洞穴の方向へ歩いて行ったが、
実際は、廊下で潜んでいた二人には
どこへ行ったのかなど分からなかった。
「誰かが変装していたのかなあ。」
「誰が、何のためにそんな事をしているのよ。
あの音はおもちゃでは無さそうよ。
背中の弓矢や刀だってきっと本物よ。
でもいい気なものね。
他人の家に入り込んであんなにノソノソ歩いちゃって。」
「ギナマ、この事を知っているのかなあ。」
「知らないと思うわ。
だから一人でこんな所に暮らしているのよ。
知れば、きっとおばあさまの所へ行っていると思う。」
「そうか。じゃあ教えてあげよう。
警察に見張ってもらえば、
あ、警察は駄目だね。
警察は僕たちがここを出てからでないと… 」

