銀杏ララバイ


「馬鹿な、私はあの子を守るために結界を作らせたのじゃ。」


「何にしても母上があの子にチャクラの使い方を教えたりしたから、

結局は全て消滅、
と言う憂き目を見る羽目になったと言う事は忘れないでください。

まあ、それほど心配は無いでしょう。

彼女は正真正銘の人間で、
弟と共にあそこで一生を終えるつもり。

今は新しい命を得ていますから、

大きな豊かな心で鳶人や銀杏丸を庇護してくれるでしょう。

鳶人も一生懸命かおるの役に立とうと考え、
動いていますから、
見ていて微笑ましいものです。」


「あの孝史と言う弟は銀杏丸を見限ったのか。」


「まさか。そんな事はありませんよ。

あの子こそ銀杏丸と一体化しそうなほど愛してくれていますよ。

ただ男の子だから自分に力を付けようと頑張っているのです。

多分数年後には江の島の駅の辺りに建築・設計事務所を構え、

ずっと、かおるや鳶人、それに新しい銀杏丸を見守っていくでしょう。

かおるは、
鳶人や新しい銀杏丸があのイチョウ屋でしか安住の気持ちが沸かないという事を知っているから、

増築して住み易くしたのでしょう。

あそこは若いが、質の良い銀杏の木が多いから気が休まる。」


「そうか。私の出る幕は… 無理だな。」


「ええ、無理です。
下手に動けばやぶへびになりますよ。

それはそうと、
最近西の方から邪悪な霊魂が来ていませんか。

なかなか乱暴な奴らのようです。
まさか母上が呼び寄せたとかではありませんよね。」


「ああ、あいつらか。
あいつらは蒙古の取り残された霊魂よ。

九州の海上で波に揺られて泡になっていた者共だが、

最近何を血迷ったのか国内を徘徊しおるわ。」


「蒙古… と言う事は北条時宗の世に襲ってきた、

あの元寇襲来の折に命を失った亡霊どもですか。

そうですか。
それなら私がかの地へ追いやりましょう。

銀杏丸誕生の祝儀です。」



そんな言葉を残して実朝(実鳶)の鳶は飛び上がり、

上空で大きく旋回して消えて行った。

残された… と思っていたが、
政子の鳶もいつの間にかに消えていた。