銀杏ララバイ


「相変わらず新しい霊たちを呼び起こしているようですね。

まあ、文京区界隈だけなら何も言いませんが、

私の領域へ来るようなことがあれば容赦はしませんよ。

それはそうと、
新しい銀杏丸が誕生し、
私はじい様になりました。

名前はギナマだそうです。」


「ふん、あの女はしたたかだのう。
銀杏丸が完全に操られておるわ。」


「良いではありませんか。
それを銀杏、いや、今では鳶人でしたが、
鳶人が求めた訳ですから。

二人の利害が一致して新しい銀杏丸が生まれ、

表面上は姉と弟ですが、
とにかく二人で育てるのです。

悲しいかな鳶人は母親の愛を知らずに育った。

父親もまともな子育ては出来なかった。

そんな中でかおると孝史に出会い、

二人から楽しい、嬉しい、悲しい、などの感情を教えられ今に来ているのです。

私もあの子を見守る事でいろいろな感情を覚えましたよ。

私もそうですが、
あの子もこの幸せな絆を逃がす事は無いでしょう。」


「あの女は我々の事をどのぐらい知っているのじゃ。」


「さあ、どこまで信じているかは分かりません。

が、ただギナマの存在、鳶人の存在が同一のものとは分かっているようです。

孝史の記憶からは消えているようですが、

かおるは… 多分分かっていると思いますよ。

だからこそ鳶人の、
いや、ギナマの子供を望んだ。

鳶人の中に潜んでいたギナマを呼び出して子供を作らせるとは、

恐れ入りました。

まあ、裏を返せば、
それだけギナマを愛してくれていたのでしょう。

だから生まれた子供の名前をギナマにした。

ギナマと言う名前は銀杏丸が自分で考えた名前ですから、

それを知っている彼女が自分の子につけたのでしょう。

ギナマの名前を覚えていると言う事は、
絶対とは言えないが、
我々が源の子孫云々は微妙ですね。

ひょっとすると鳶人の持つ力を知っていて、

母上が銀杏丸にさせたように、

彼女も何かに利用しようと企んでいるのかも知れませんね。」



と言って実朝(実鳶)は笑いを堪えるような顔をしている。