「鳶人、良かったなあ。
お前はこれから家で勉強するのだぞ。
スポーツは休みの日に兄ちゃんが遊んでやるから。
お姉ちゃんも帰って来たら喜ぶぞ。
お姉ちゃんは初めから
鳶人は家で勉強したら良い、って言っていたもの。」
まだクラブに入っていない孝史が話を聞いて喜んでいる。
どう考えても、
ランドセルを背負って学校へ通う鳶人は似合わなかった。
3日間は、中に入れるものを最小限にして、
学校までは自分が持っていったが、
ランドセルを背負って校庭を歩く鳶人は、
ランドセルにつぶされそうだった。
あんな姿は見たくなかった。
「はい。にいたん、タッカー、つる。」
鳶人も嬉しそうに孝史にサッカーをねだっている。
そうなのだ。
孝史と遊んでいる時は、
数時間遊びまわっても
楽しそうな顔をして笑い声さえ出している鳶人。
学校云々になると病弱な子供になっていた。
そして言葉使いも、
相変わらず幼児言葉だった。
「そう、鳶人、よくやったね。」
孝史から報告を受けたかおる、
鳶人の頭を撫でながら満足そうな笑みを浮かべている。
「えっ、お姉ちゃんは想像していたのか。」
「当たり前でしょう。
この子はギナマの生まれ変わりなのよ。
あのギナマが学校なんて枠にはまって生きていけると思う。
鳶人も一緒よ。
言葉だけでは理解出来ない人が多いから、
鳶人は実践して見せてやったのよね。
鳶人はここで私たちが帰るのを待っているの。
ここは私たちの家だからそれが一番自然なのよ。
ええ、教科書の勉強は鳶人一人で大丈夫だけど、
まあ一応は私が見るわ。
鳶人、休みには図書館へ行って沢山本を借りて来ましょうね。
私たちが学校へ行っている間は、
鳶人も読書をいっぱいするのよ。」

