銀杏ララバイ


「やはり鳶人君は、
しばらくホームスクールで勉強をした方が良いかと思います。

教科書に沿って高校生のお姉さんに見てもらって、

たまには担任が寄りますので、
分からないところはその時にでも、

と言う事で進めようと思います。」



その週末、鳶人の結論を持って、
また教育委員会の人と校長と担任が恐縮した顔をして訪れ、

そう言って帰って行った。


そう、鳶人は体は小さいが馬鹿ではない。

ただ学校へ行きたくないだけだから、

かおるの策をよく理解していた。

小学校までの距離は、

なれない鳶人には疲れてしまう、
と父が背負い、

孝史がランドセルを持って校門近くまで送り、

そこでバイバイと手を振って別れる。


その後は、
まるでランドセルが歩いているような格好の鳶人。

校舎に入り、待っていた担任が教室まで一緒に行く。

しかし、その時点で鳶人は、
疲れた顔をして保健室へ連れて行ってもらう。

そして、そのまま二時間目が終わる頃まで静かにお昼寝をする。

すると副担が起こしにくる。

鳶人はかおるの言葉よろしく、
真っ直ぐに副担任を睨み、

そう、その涼しげな赤ん坊のように澄んだ瞳を、
氷のように冷たくして睨み、

その内に、消え入りそうなほど疲れた顔をして
目を閉じてしまう。

それだけのことなのだが、

元々色白で可愛い顔立ちだから余計儚げに見える。

慌てた副担任は保健指導の教諭に声をかけ、

そのまま寝かしておくか、
家に連絡するかを考え、

担任とも相談して、結局父が迎えに来た。



そんな日が三日も続けば学校側はお手上げだ。

下手をして厄介な事になっては余計な仕事が増える。

元々家族が、
児童の虚弱体質を考えてホームスクールで、
と言って来ていたのに、
無理に通わせた。

今ならまだ何も問題は起こっていない。

早く結論を出した方が、
と言う事で再度の訪問があった。