銀杏ララバイ


かおるは不満だったが、
大人の目から見ればいくら高校生になっていると言ってもまだまだ子供扱い。

諦めた顔をして、無言で彼らを見送った。


確かに最近は幼児虐待の嫌なニュースも多いし、

一人っ子が多いからか、やたらと甘やかして、

扱い難い児童も多いらしい。


言葉の遅れは無くても対人関係に問題を抱える子、

頭が悪いと言うわけではないが、
四十五分の授業に対応できない集中力が薄い子、

または学習障害の子供もいると言うから
教育関係者は大変だろう。

しかし、鳶人に関して言えば、

それ以前の問題のように思える。

発育こそ遅れているが覚えは早い。


よく言えば、社会の枠にはまりたくない自然児なのだ。

そして何故か、そんな鳶人を,
かおるはよく理解できた。



「いい、鳶人、学校までは父さんと孝史が一緒だから行ってあげなさい。

でもお姉ちゃんは、
鳶人はホームスクールで良いと思っている。

鳶人も学校へ行くのは嫌でしょ。

だからそのためには、
学校へ入ったらすぐ保健室へ行ってベッドの上でお昼寝をしていたら良いのよ。

誰かがおこしに来て教室へ連れて行こうとしたら、

その人を思いっきり睨んで、
それからしんどい顔をしてまた眠ってみなさい。

それを数日繰り返せば向こうは諦める。

お姉ちゃんは一緒にいられないけど、
鳶人、それぐらいは出来るでしょ。」


「はい。」



かおるは初めこそ電車通学だったが、
最近は自転車で通う事にしている。

そしてその朝。

家を出る前、初めて登校する鳶人のために、

学校側が諦める策を鳶人に授けた。