銀杏ララバイ


確かに、日本国に生まれた児童は教育に携わる義務がある。

それが6歳になる小学一年生からだ、
と建前論を初めから言っている。



「じゃあ、何のためにホームスクールの制度を作っているのですか。

特別の状況下ではそう言うことも認められるはずでしょう。

鳶人は特別なのです。

勉強は教科書さえあれば、
私が中心になって教えます。

体育系は弟の孝史が出来ます。
後の時間は本人がしたい事をしていればよいと思います。」



かおるは初めから、
ホームスクール方式を譲ろうとはしない気持ちを露わにしている。

何故かはよく分からないが、

かおるは、
昨夜自分を見つめた鳶人がそう望んでいるように感じられた。

だから姉として、
幼い弟を守らなければ、と言う気持ちが強く出ている。

が、大人にしてみれは生意気な高校生ぐらいにしか映らないようだ。



「スタートからおうちの人がそんな事を言われては困ります。

何度でも挑戦して子供を社会に順応させる努力をするべきではありませんか。

小学校は中学の近くですからお兄さんと一緒に通えば、

初めは戸惑う事もあるでしょうが、
その内には慣れてきますよ。

お父さん、明日からとは言いませんが
とにかく努力してみましょうよ。

私たちも鳶人君が一日でも早く学校生活に慣れるように気を遣いますから、

そう言う事でやってみましょうよ。」



その内に校長がかおるを全く無視して、
父を説得している。

父親がいるのに、

高校の制服を着たままの
かおるの存在が疎ましくなってきたのだろう。


そして気の弱い父は押し切られる形で、

一応挑戦してみる、と返事をした。