「それしかないよ。
鳶人は可愛いから目立ったのかなあ。
軽そうと思って掴んだのかも知れない。
とにかくいきなり鳶人を狙った。今だって狙っている。
銀杏丸がいなかったらこっちを集中攻撃だ。
お姉ちゃん、もっと石を集めておこうか。」
「そうねえ。あの鷲を追い払うにはそれしかないわ。
中までは入って来ないのね。」
「うん、今のところはね。
入り口のところまでは来たけど、その度に銀杏丸が来てくれた。
だけどどうも情勢は不利だよ。」
「当たり前よ。
いくら銀杏丸が大きな鳶でも相手は鷲よ。
今でもかなり辛そうよ。
だから私たちも何とか銀杏丸に加勢してあの鷲を追い払わなければ。
その内に父さんが来てくれると思うけど、
こんなに鳶たちが騒いでいても、
向こうにいる観光客や地元の人たちは何の反応もしていなかった。
幸い私は分かったけど…
父さんがすぐに気づいてくれる事を祈るだけね。
でもゆっくり隠れて待っている余裕は無さそうよ。
私たちの武器は石しかないけど、
一つでも当たれば打撃を与えられる。
孝史はコントロールが良いから、
なるべく野球のボールに近い大きさの石を集めましょ。
そこの入り口付近には沢山ありそう。
鳶人はお兄ちゃんやお姉ちゃんの後ろにいるのよ。」
そう言って二人は適当な大きさの石を集め、
自分たちの足元に置いた。
さあ、行くぞ、と思って上空を見上げた時に、
銀杏丸が鷲に攻撃されて海上へ落ちていくのが見えた。
「お姉ちゃん。」
「ええ、今よ。孝史、手加減なしにぶつけてやりなさい。
私も頑張る。」
と言っても、かおるの投球は見られたものではなかった。
こんなはずではなかったが…
さっきのように近くに来れば当たる可能性もあると言うものだが、
いくら投げても空しく宙を切って落ちてしまう。
諦めて入り口近くに来た時を狙う事にした。

