「お姉ちゃん、危ないよ。」
しばらくすると、
岩肌に出来た洞穴のような所から孝史が顔を出した。
しかしそれを見た鷲が急降下して襲い掛かり、
孝史はすばやく洞穴の奥へ入っている。
「孝史、私もそこへ行きたいから何とか考えてよ。
石なら数個持っているよ。」
かおるは岩陰に隠れながら、
少しずつ洞穴に近づき孝史に声を掛けている。
上空では銀杏丸が威嚇の声を上げて奮闘しているが、
所詮は鳶、鷲を相手にするには力量が足りない。
かなり負傷しているらしく、
羽が数枚抜け落ちて風に舞っている。
「わかった。
お姉ちゃんがここに入ろうとすればあいつが近づく。
その時を狙って僕も石をぶつけるから
お姉ちゃんも投げながら入って来て。
もう少し石を集めておくからちょっと待ってね。」
「合図をくれればいつでもOKよ。
鳶人は大丈夫なのね。」
「うん、ここにいる。
準備はいいよ。いつでも駆け込んで。」
その合図でかおるは両手に石を握って洞穴へと走った。
案の定、かおるの動きを察知した鷲が急降下して来たが、
その時の鷲の狙いはかおる、
その隙を付いて孝史が穴の中から石を鷲に投げつけた。
サッカーが一番好きだが、
野球も嫌いではない孝史。
11歳ながらなかなかのコントロールでうまい連投だ。
それに投げたのはボールではなく、
もっと硬い石だから一発でも当たれば鷲の動きを弱める事に繋がる。
もっとも命中はせずに、
かすっただけで終わったが、
かおるは無事穴の中に入った。

